No.035-網膜芽細胞腫とはなにか:瞳孔が白く光る

網膜芽細胞腫とは

こどもにおきる眼の中の「ガン」です。1万5千人に1人くらいに起きます。95%は5歳までに診断され、日本では年にだいたい80人 が発症しています。早期発見、早期治療すれば、90%以上は治ります。しかし眼球の外へ広がったり、転移したりすると命とりになることがあります。片眼のことが多いですが、「片眼か両眼か」や「腫瘍の大きさ」によって、どうやって治療するかが大きく変わってくるので、病気の状態を正確に知って治療することが大切です。

原因

RB 遺伝子という「遺伝子」の異常で発症すると考えられています。RB遺伝子は、13番染色体の長腕というところにあり、細胞が分裂するのを制御しています。 RB遺伝子が働かなくなると、細胞分裂の歯止めが利かなくなるので、細胞が「がん」になってしまいます。両眼性はすべて遺伝子の異常です。片眼性の場合、一部は遺伝性 があります。

症状

写真を撮ったときなどに、瞳が白く光って見える「白色瞳孔(はくしょくどうこう)」で気づかれることが最も多いです。最近はスマートフォンで子供の写真をとることが増えたため、スマホ(フラッシュあり)で白色瞳孔に気づいた、というニュースもありました。悪化すると、視力が悪くなったり、片方の眼球が違う方向を向く「斜視」になったりします。さらに進行すると、眼が赤くなったり、まぶたが腫れたり、眼が大きくなったりします。

診断

瞳孔を開く目薬を用いて、眼底(網膜)の検査を行います。このとき5歳以下のこどもの眼の中に白い腫瘍があれば、網膜芽細胞腫を強く疑います。さらにCTスキャンで骨のように白く見えるもの(石灰化)があれば診断はほぼ確定します。

あとMRIで腫瘍の大きさやひろがりもチェックします。確実な診断は、眼球を取って腫瘍の細胞の広がりを顕微鏡で調べます(病理検査)。

網膜芽細胞腫が強く疑われる場合には、転移や重複癌がないかどうか、全身を調べる必要があります。そのほか診断材料として遺伝子診断や血清腫瘍マーカーなどもありますが、現状では補助的なもので、網膜芽細胞腫の確定診断は眼底所見と画像所見をもとにした臨床診断が原則です。

治療法

網膜芽細胞腫は進行すると、視神経を通って脳へ広がったり、血液や脳の周りをめぐっている水(脳脊髄液)を通って全身へ転移します。眼球の中だけにとどまっているのか、もしくは眼球の外にまで腫瘍が広がってしまっているかどうかで治療の方針が違います。

ただ、眼球の中だけに腫瘍がとどまっていたとしても、腫瘍の大きさや範囲(=進行度)、両眼なのか片眼だけなのかによって異なります。治療は、眼球を取り除く方法と眼球をなんとか取らないようにする方法があります。

残念ながら腫瘍が大きくて視力の改善が期待できなければ、眼球ごと腫瘍を取り除きます。 眼球を取った後は、義眼(ぎがん)をはめて、見た目にはわからなくします。

眼球を取らずに保存する治療法には、化学療法(抗がん剤)、 レーザー治療、冷凍凝固、放射線での治療などがあります。アメリカでは保存療法が増えており、日本でもだんだんその方向に向かっていますが、どうしても眼球を取らざるを得ないケースがあるのも事実です。

化学療法は、数種類の抗がん剤を組み合わせて全身に投与する治療で、現在の保存療法の主流となっています。 レーザー治療と組み合わせて行います。一時的に髪の毛が抜けたり感染症にかかりやすくなるなどの副作用があります。また生殖機能に影響が出たり、白血病などを生じる危険もあります。

レーザー治療、冷凍凝固などは局所療法なので小さい腫瘍に対して行ったり、併用療法として用います。
放射線での治療は、効果的ですが、骨の発育を妨げたり、顔面が変形したりする恐れがあります。また放射線によって将来、別の癌(二次がん)を引き起こす可能性が高いことがわかっています。
どの治療法をどう組み合わせて行うかは、眼科、小児科、放射線科がお互いに検討して決めていきます。

予後

生命予後は、5年生存率93.1%、10年生存率90.6%と報告されています。眼球外に腫瘍が広がってしまっている場合には、5年生存率71.2%、10年生存率66.0%に低下してしまいます。

眼球保存率(目をとらずにすむ確率)は、全体で約50%程度です。

大切なこと

予後からもわかるように、早期発見が大切ですので、5歳以下のお子様に「瞳が白く光る」「視線があいにくい」等の症状があれば、早めにお近くの眼科を受診し、眼底検査をしてください。

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2016年7月14日 木曜日